KEIHIN PWK28のキャブレターには、むかしミニバイクのレースをやっていたこともあり思い入れも大きく、自分がミニバイクを買う機会があったら交換するのはコレだなと思っていました。
当時、PWK28キャブの性能は素晴らしく
PE20,PE24,PE28,フラット24,VM26等(今は
ヨシムラTM24・TM-MJN24もありますね。)もあったが基本設計もわりと新しいこのキャブは高回転においては特に群を抜いていました。
(当時のレース車両は改造スクーターで使用回転数は12000~14500回転で基本的にアクセルONかOFFで走行する為、高回転の出力は特に重要であった。)
APE100/XR100モタードの縦型4miniエンジンでPWK28で検索ヒットするのはわずかに数件!
しかも「このセッティングでOKですね!バッチリです。」はやっぱり無く自分もこのキャブで1年半は走りましたが、アイドリングは安定せず、スロットル開度1/8までに苦しみました。
が、この辺で自分がやってきた事を 同じPWK28で苦しんでいる方に公開しようかと…
といいつつ私自身最近セッティングが決まってきたところです。
キャブセッティングはエンジンやマフラー等の仕様によって異なりますが、おおむね方向性は同じだと思います。(あたり前ですが、これを見た後のセッティングは自己責任でやってくださいね。)
まず最初に書いておきますが、エンジンは武川製のスーパーヘッドステージ3の124ccに変更してあります。(こちらについても機会があれば書きます。)
点火系はデイトナ製のアウターローターが組んであります。(専用品が無かったのでAPE100用を配線加工して取付けています。)
取付けについては武川製のマニホールド(インシュレーター)+コネクティングチューブ(吸気ダクト PE28用を流用)を使用してエアクリーナーBOX仕様にしてあります。
但し、マニホールドについてはPE28キャブ用なのでフィッティングが悪くマニホールドから2次エアを吸ってしまい使い物になりませんでした。
(2次エアを吸ってしまうのでだんだんとバンドを締め上げていく事になります。ゴムなので伸びてしまうのです。)
速攻2つ潰れました。(ToT)
2次エアのチェックは簡単です。マニホールド周辺のジョイント部にパーツクリーナーを吹き付けてアイドリングに変化があればNG!変化が無ければそれが正常です。
今は、キタコ製のPWK28用の物を使用しております。
こちらは専用品なので使用に関しては問題ないですが、耐候性が悪いのか外側にクラックが(3ヶ月目位から)入ってきました。
画像の通りキャブ本体は何も加工すること無く収まっています。
スロットルワイヤーもタンクとフレームの間、中心をうまく通っています。ちなみにスロットルはデイトナ製を使用しています。
それとコレもちょっとしたポイントですがマニホールドとコネクティングチューブを止めるバンドは必ず+(プラス)の物を選びましょう。
なぜならジェットニードルの交換までなら+ドライバー1本あれば交換出来るからです。また、逆を返すと-(マイナス)のバンドはかなり使いにくいんですよね!市場には意外に+のバンドは少ないです。(ちなみに私は武川の物を取り寄せしました。)
エアクリーナーBOXの吸気ダクトはレーサーXR100の物(HONDA品番17240-KB7-000)を使用し、BOXのカバーには UNIエアーベント を付けて吸入量を稼いでいます。エアクリーナー本体は使っていません。
PWK28の基本セッティングはメインジェット(MJ)#135、スロージェット(SJ)#38、ジェットニードル(JN)#N68A、クリップ位置は上から4段目、カッタウェイ(CA)#3.5、エアスクリュー(軽くいっぱいに締め込んだところから)1+1/2戻しになります。
この状態でもエンジンは掛かるのですが調子は(^~^; ここから地獄?のセッティングの日々が始まって行くのです。
メインジェットについてはさほど気にする必要は無いと思います。およそ#110~#120で決まるかと…さすがに標準の#135だとモコモコいって走りませんでした。(^^;
このキャブで一番のポイントとなるのはカッタウェイになります。「エー!」っと思っている方多いと思いますが、私も相当遠回りしましたが結果的には必要になりました。
カッタウェイはセッティングパーツの中で一番高価な部品なので買うのに躊躇しますが無いとセッティングが決まらないです。
画像は#3、#3.5、#4、#5で番数が大きくなるほど極低開度域で,混合気は薄くなります。吸入側には切り欠きがあり#3と#5を比較してあります。#3と#5だと極端に違うので(画像をクリックすれば拡大するので)確認してみてください。
セッティング初期の頃は濃い症状を薄いと勘違いして標準の#3.5を#3に替えて「回転の上昇が早くなったぜ!」と喜んでいました。(^^;
結果!調子が悪かったのは言うまでもありません。
上記のポイントと同じくらい大切なのがスロットルバルブのスプリングです。画像は左からノーマル、
ミディアム(150%)、KEIHIN強(100%?)、
ハード(300%)です。
このホンダ4サイクルエンジンでは負圧の力が強いのか、ノーマルのスプリングのままだとアイドリング時スロットルバルブが張り付いてアイドリングが安定しません。(ひどいときにはストールするかアイドリングが2000rpm~4000rpmと落ち着きません。)
始めはノーマルのスプリングでセッティングしていましたがアイドリングのばらつき等ありすぐにKITACOのミディアムを購入しました。
しばらくの間KITACOのミディアムを使用していましたが安定しない時が多々ありました。
そんな時はスプリング本体を引張って全長を長くしてから組込めばかなりマシにはなります。
また、KITACOハードスプリングは堅すぎてスロットルワークに影響が出るほど重たくなるのと組付けるのに尋常ではない堅さなので全くおすすめ出来ません。
注、スプリング線径は手持ちの デジタルノギス で測定しました。
おすすめは
KEIHINのオプション強です。
KEIHINのオプション強スプリングは不思議な事に線径はKITACOのミディアムより太いのですが、スロットルワークではさほど重さは感じられられません。また、自分の勝手なテストでは確実にKITACOのミディアムより堅いです。(=バネレートが高い)
画像を撮る時、気がつきましたがKEIHIN純正とKITACOの強化タイプとではスプリングの巻き方の方向が逆なのです。問題は無いとは思うけどなぜだろう?
もう一つ微妙な線なんですがスロットルワイヤーの遊びです。スロットルバルブを直接引張る方式のキャブなので遊びがちょっとでも大きいとスロー系に影響します。また、←(カッタウェイの張り付き現象がスプリングの強で解決したあとは問題ありませんでした。)
スロットルバルブのタイコ止め位置の形状には違いがありますが画像の様に引っかければスロットル操作上問題はありませんので各社から売られているハイスロットルが使えます。(ケーブルの長さはチェックして下さいね。)
デイトナのハイスロットルはケーブルの中間にも調整がありますので、おすすめです。
あとはスロージェット+エアスクリュー戻し値(スロー系全体に影響します。)とジェットニードルになります。
私がPWK28のキャブレターを買った頃はN68系のジェットニードルしか販売されていませんでしたが今現在ではN68系より薄いセッティングが出来るN80系が発売(2006.07頃?)されています。
「PWK28ジェットニードルサイズ表」 ←参考にしてください。
ジェットニードルは、スロットル開度(全閉を除く)で、ほぼ全域で影響します。
クリップ段数、ストレート径など、開度により役割が異なります。
クリップ段数は上から1、2、3、4、5と数え1が一番薄く5が一番濃い設定となります。
またストレート径については太くなるほど薄くなります。
画像のニードルは通常入手出来ない物も入っています。それについては見なかった事にしてください。(^▽^)
ちなみに私が持っている(買ってしまった)ジェットニードルはN68のB,D,E,F,G,H,IとN80のG,H,I,J,K,Lです。
これから買われる方はN68系は必要ないと思いますので買わなくていいですよ!
右の画像が通常セッティング時に装備している工具類とプラグ、ジェットケースです。
画像真ん中のカッタウェイについてはジェットケースの中に1個だけ装備することが可能です。スロットルスプリングは持ち歩きません。
プラグについては過去に使用方法でいきなり死んだことがあるので(XR100ではまだありませんが)バイクに乗るときには常に持ち歩きます。
セッティング中はスタンダードタイプのプラグを何本か予備で持っておき、ちょっとでも調子が悪いと感じたらバンバン替えちゃいます。
スタンダードプラグは1本¥330 プラグが原因だったら時間の無駄ですからね。
通常のキャブセッティングはスロージェットを決めエアスクリューでアイドリングの安定するところを探し出し、ジェットニードル(ストレート径)でスロットルの開け始めの付きを見ながらスロットル開度1/4付近のジェットニードル(クリップ位置)の確認をし、メインジェットの最終決定をしますが、このキャブにはそんな常識的なやり方は通用しません。(T_T)
さて、ここからが本題のセッティングです。このキャブのセッテイングのポイントは全閉~スロットル開度1/8までです。そこの回転域で影響するのはカッタウェイ、ジェットニードル(ストレート径、段数)、スロージェット、エアスクリュー戻し値になります。そしてどうしようも出来ないのが走行中にスロットルを全閉にしたときのスローの薄さです。 (FCRキャブレターの
「FCRセッティングの基本」を参考にしてください。)
カッタウェイ#3、#3.5、#4は使えるスロージェットが#35と販売されている物で最低のサイズになります。但し#5のカッタウェイを使うといきなりスロージェットが2ランクアップし#40が使えるようになりました。
また、カッタウェイ#3、#3.5、#4でセッティングしていくとジェットニードルが一番薄いN80Lでも濃い症状が治まらずやむなくカッタウェイ#5の購入を決定しました。#5にしたところ このキャブを使って初めてジェットニードルの範囲が薄いと!思える物が出てきました。\(^o^)/
キャブセッティングで妥協点をどこにするかは人それぞれですが、走行可能な範囲内で濃い、薄いだと私の感覚では濃い方が良く走るように感じます。(特にこのXRのエンジンではトルクが出てきます。)
最終的にジェットニードルはN80HとN80Iの2本に絞られました。
おそらくベストはN80Iだと思うのですが、上記に書いた「濃い方が走る!」の考えから濃い物を使いそれに合わせてスローを合わせました。この時の最低の条件はアイドリングの安定です。(走行中のスロットル全閉時スローの薄さかくるアフターファイヤーは我慢しないといけません。)
それで結局探し出したベストデータがMJ#110、SJ#40、JN N80H(クリップは2.5段目)、CA#5、エアスクリュー戻し値は1+3/4です。
おまけの小技(上記の「クリップ2.5段目」の説明)
キャブセッティングの中でジェットニードルのクリップ位置決めをする際に、例えば2段目だとちょっと薄いし、3段目だとちょっと濃い!と言う時にに使うニードルの調整用ワッシャーです。ジェットニードル組込み時Eクリップの下側に入れてゲタを噛ませる感じで使用します。微調整にはもってこいです。
質問等あれば
コメント欄から質問していただければ解る範囲でお答えします。(ココはどうなってるの?とか)
2007/08/06追記
(ヨシムラからはTM26・TM-MJN26発売 キャブレター単体ではKEIHIN PE22も発売されたようです。PE22はDE耐のレギュレーション策用みたいです。)